研究テーマ

研究テーマ

地域/情報研究室は、空間情報学という学問領域を発展させ、これを国土・地域・都市の政策・計画プロセスに利活用していくための多様な研究テーマに取り組んでいます。空間情報とは、地図や空中写真、衛星画像、統計データなど、時空間的に広がる国土・地域・都市の実態を要領よく理解し、また、これを多くの人々が知識として共有するための情報という意味です。まさに、われわれの生活、経済活動を根底で支える社会基盤(インフラ)としての情報です。

高度情報社会の進展に伴い、空間情報を取り巻く状況は変化し続けています。通信技術の進展やモバイル端末の普及が進み、地理情報システム(GIS)や画像処理、GNSS、リモートセンシング、レーザー計測などの空間情報技術、サーベイランスの進展と普及も著しいものがあります。位置情報を半ば自動に取得し、効率よく管理できるようになりました。統計や地図のデータも多くが数値化され、これらが無料もしくは安価に入手可能になりました。

空間的あるいは時間的に拡大・精細化が進む多様な情報を、時空間の位置情報に基づきまとめあげることができます。これにより、実空間と結びついた計画論への展開が可能になります。そして、情報を組み合わせて多様な方法で分析、表現することにより、多くの人々と共有できます。シミュレーションなどの技術を融合すれば、いっそうの分析の高度化も期待できます。このような分析のためには、統計学や歴史学などの確固たる方法論が基礎となります。

このように、国土・地域・都市の歴史や現状、そして未来の姿・あるべき姿を、従来の発想に囚われない新しい視点から捉え直し、解釈・議論をしていくための情報環境が整いつつあります。空間情報学は、空間情報の整備、管理、表現、解析、利活用に関わる、文理融合、学際的な研究領域です。私たちは、この空間情報学を国土・地域・都市計画のための問題意識の醸成、建設的な議論と合意形成、そして政策的な意思決定に活かす新機軸として位置づけたいと思っています。

最近の主要な研究テーマを以下に示します。
学生が取り組んだ学位論文のリストは論文のページを、教員の研究活動についてはメンバーのページから個人のホームページにアクセスしてください。

多様なデータの統合

  

センシング技術の発展により、様々な観測データが入手できるようになってきました。そのため、単一データからの分析ではなく、多様なデータを統合した分析が重要になってきています。例えば、モバイル端末から、画像のみならず、位置情報、距離情報、角度情報などを組み合わせて、対象空間を計測する手法開発などを行っています。さらには、多種の計測情報を統合分析する方法論の開発も行っています。

データとシミュレーションの統合

  

近年のセンシング技術とシミュレーション技術の発展には著しいものがあります。データだけから得られない知見を、シミュレーションとともに分析することにより、新たな発見が期待できます。このように、データとシミュレーションを統合し、時空間モニタリングに応用するための研究を行っています。例えば、人の動きを予測するモデルと、人の位置を観測したデータとの両者を同時に利用することによって、これまでにない計画の可能性がひらかれると考えています。

データ生成機構の構造推定と可視化

  

センシング技術の進展に伴って、実社会で起きている現象を多種多様なデータとして観測できるようになりました。しかしながら、データを観測しただけでは、なぜその現象が生じているのか、また、なぜそのデータが発生したかは分かりません。そこで、実現象やデータが生じる仕組みを、観測したデータを手がかりに解明するための研究に取り組んでいます。また、その仕組みを分かりやすく可視化する方法についても検討を行います。